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医療連携について

 当院では、医師・医療機関と連携しながら、患者さんにとってより良い医療を提供することを重視しています。

 これは近年注目されている「医鍼連携」の考え方に基づく取り組みです。

Q. どのような場合に鍼灸への紹介を検討すればよいのでしょうか?

A. 現時点では、鍼灸導入に関する明確な一律の基準やガイドラインは存在していません。そのため当院では、「疾患名」だけで判断するのではなく、病態・治療経過・患者さんの困りごとを踏まえて、以下のような場面で鍼灸の紹介を検討することが有用と考えています。

① 臨床研究により有効性が示唆・支持されている疾患・症状の場合

鍼灸は、国際的なシステマティックレビューにおいて、補完療法としての有用性が示されている領域があります。

UpToDate® で言及されている主な対象

  • 慢性疼痛・急性疼痛(歯痛を含む)

  • 頭痛

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)および呼吸困難

  • アレルギー性鼻炎

  • 更年期ホットフラッシュ

  • がん性疼痛

  • 化学療法に伴う副作用(嘔気・倦怠感 など)

※ これらに加え、現代医学で有効な治療選択肢が限られる症状においても、
鍼灸が「代替」または「補完療法」として選択されることがあります。

 

② 医学的に十分な説明がつかない症状(Medically Unexplained Symptoms)の場合

検査や画像所見では明確な異常が認められないものの、症状や生活上の支障が持続しているケースも少なくありません。

鍼灸は、以下のような機能性疾患・心身症に対しても対応可能です。

  • 線維筋痛症

  • 過敏性腸症候群(IBS)

  • 機能性ディスペシア

  • ストレスや緊張が関与する筋・筋膜性疼痛

これらの領域では、疼痛・不調そのものだけでなく、QOLの改善を目的とした介入として鍼灸が検討されます。

③ 漢方薬が使用できない、または効果が十分でない場合

鍼灸は、漢方薬と同様に体質や全身状態を考慮する治療法として位置づけることも可能です。

以下のような場面で選択肢となります。

  • 副作用や体質の問題で漢方薬が使用できない場合

  • 漢方薬の効果が限定的であった場合

  • 鍼灸との併用による相乗効果が期待される場合

 

④ 薬物療法が制限される、または既存治療で効果不十分な場合

  • 内服が困難な患者さん

  • 腎機能障害などで薬剤選択が制限される場合

  • 慢性的な症状がコントロール困難な場合

このようなケースにおいても、個別の病態に応じた非薬物療法の一つとして、鍼灸が選択肢となり得ます。

 

参考:鍼灸の有効性が示唆されている主な領域(エビデンスの概要)

国際的なシステマティックレビュー(Cochraneレビュー等)や近年の研究により、以下の領域で鍼灸の有用性が報告されています。

  • 緊張型頭痛、片頭痛予防

  • 術後の嘔気・嘔吐(PC6刺激)

  • 慢性腰痛

  • 産痛軽減、骨盤位妊娠に対する灸治療

  • 線維筋痛症(特に電気鍼併用)

  • 慢性前立腺炎症状(CP/CPPS)

また、国内診療ガイドラインにおいても、2024年末時点で少なくとも19件のガイドラインに鍼灸に関する記載があり、そのうち多数が肯定的な推奨を示しています。

まとめ

当院が考える医鍼連携とは、単に患者さんを紹介することではありません。

医師と鍼灸師が双方向で情報を共有し、それぞれの専門性を尊重しながら患者さんにとってよりよい医療を「一緒に支える仕組み」です。

 

当院では、地域の医療機関と連携しながら、患者さん一人ひとりの状況に応じた最適な治療選択を支える体制づくりを進めています。

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