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Speciality

サポーティブ・パリアティブ

 当院では、がん患者さんやそのご家族が抱える様々な症状やお悩みに対しても鍼灸治療を積極的に行っています。

緩和ケアにおける鍼灸師の役割

​ がんに伴って生じる痛み・倦怠感・しびれ・吐き気・不眠・不安など、「がん治療に支障をきたす症状」に対して、鍼灸は薬物療法と併用しながら補助的に対応できます。

 さらに、治療後や経過観察中に生じる再発への不安気分の落ち込み、そしてがん治療によって生じてしまった化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)慢性的な痛みに対しても、鍼灸は患者さんを支える手段となり得ます。

 実際にこうした症状に対して鍼灸が有用であったとする臨床報告は、国内外で数多く発表されています。鍼灸はがんそのものを治療するわけではありませんが、生活の質を守り、患者さんが少しでも安心して日々を過ごせるように寄り添うケア として位置づけることができます。

 

鍼灸師の役割ってなんだろう?

​「鍼灸師に何ができるのだろう?」と疑問に思う方も多いかもしれません。がん患者さんにとって、鍼灸師はどんなサポートをしてくれて、どんな役割を担っているのでしょうか。

 鍼灸師の仕事= think you
 つまり、疾患ではなく「あなた」を診ることです。

​ がん患者さんを事例に、鍼灸師の役割について考えてみました。

支持医療おける鍼灸師の役割

​この記事を書いている「わたし」は
 私が鍼灸師を志したのは、高校3年生の夏のことでした。
 商業高校に通っていた私は、大手企業への就職もすでに内定していました。そんな矢先、父に「肝臓がん」が見つかったのです。その知らせはとても衝撃的で、当時の不安な気持ちは今でも鮮明に覚えています。


 がん患者さんに対して鍼灸治療を実践できる鍼灸師になりたい。その願いを実現するために、私は福島県立医科大学会津医療センターで研修を受ける道を選びました(現代医学の知識や治療方針を理解するとともに、現在の医学だけでは十分に解決できない課題を学ぶことが目的)。

 研修を通して、がん患者さんが抱える特有の身体の変化について深く学ぶことができました。また、治療に携わる医師や看護師との連携がいかに重要であるかを実感しました。さらに、鍼灸が症状緩和において患者さんの力になれる可能性を感じ、その生活を支える大きな力になり得ることを実感しました。

鍼灸師の役割を探る
 『がんの補完代替療法ガイドブック 第3版』(2012年)では、39ページに鍼灸に関する情報がまとめられています。 内容としては、鍼灸の歴史や治療の目的、臨床試験での有効性、施術時の注意点などが記載されています。

​👉四国がんセンター
https://shikoku-cc.hosp.go.jp/cam/dl/pdf/cam_guide(3rd)20120220_forWeb.pdf

補完代替医療 鍼灸

 また、日本緩和医療学会が発行した『がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)』(金原出版)のガイドラインにも、鍼灸についての記載があります。

​👉 Ⅲ章 各論:クリニカル・エビデンス
https://www.jspm.ne.jp/publication/guidelines/individual.html?entry_id=92

「鍼灸」に対する学術的関心が、高まってきている
 「がんに対する鍼灸」をテーマとした研究は、補完代替療法の専門誌に限らず、腫瘍学や臨床医学の一流誌にも掲載されてきました。

 実際に、Rui Shangらによる文献レビュー(Medicine, 2024)では、1985年から2023年までに592件の関連文献が収集されており、年ごとに発表数が増加していることが示されています。

鍼灸 補完代替医療 エビデンス

 この傾向は、がん医療の中で鍼灸に対する学術的関心が年々高まっていることを反映していると考えられます。

Rui Shang, et al., Current and future trends of acupuncture as an adjuvant therapy in cancer: A bibliometric and visual analysis. Medicine. 2024.

 さらに、対象となった文献の掲載ジャーナルをみると、JAMA(IF 120.7)やJournal of Clinical Oncology(IF 45.3)といった超一流誌、さらにはCochrane(IF 8.4)にも鍼灸とがん治療に関する研究が取り上げられています。
 これは、「鍼灸とがん治療」の研究が、医学全体において認められるエビデンスを生み出しつつあることを示唆しています。

鍼灸 補完代替医療 緩和

 次に、この分野で影響力のある論文をみてみます。被引用数が多い論文ほど、研究の信頼性や国際的な注目度が高いと考えられます。
​ 実際に、鍼治療に関する代表的な論文は、化学療法に伴う症状(悪心・嘔吐など)、がん患者における疼痛、倦怠感、不眠といった領域に集中しており、これらが臨床現場での大きな課題であることを反映しています。

鍼灸 補完代替医療 緩和

 そして、『4. Discussion』には"the hottest theme being cancer-related fatigue"と記載があり、研究者で最も関心の高いトピックは「がん関連倦怠感」でした。

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