choice
良い鍼灸院の選び方|初めてでも失敗しない3つの基準
鍼灸院は全国に数多く存在しており、「どこを選べばよいのか」「何を基準に判断すればよいのか」と迷う場面は少なくありません。いわゆる良い鍼灸院の見分け方は一見すると難しく、ホームページや口コミだけでは自分に合うかどうかを判断するのは困難です。
本ページでは、初めて鍼灸院を探す方でも判断できる実用的な基準を整理します。
まず知っておきたい結論
-
鍼灸院選びでは、「資格の有無」だけでなく、卒後の学習歴・臨床の検証姿勢・医療との接続性の3点で評価することが実用的です。
-
具体的には、①全日本鍼灸学会の認定資格の有無、②学会発表や研修歴、③大学・医療機関との連携状況のいずれかを確認することで、一定の質を担保した選択が可能になります。
鍼灸院選びの3つの基準
(1) 全日本鍼灸学会 認定鍼灸師
全日本鍼灸学会では、一定の臨床経験・学会活動・研修歴などを満たした鍼灸師に対して「認定鍼灸師」の資格を付与しています。
この制度は、
-
一定以上の臨床経験
-
学術研修への継続的な参加
-
学会が定める基準のクリア
を示す、ひとつの客観的な指標になります。
➤ 下記のリンクから『認定鍼灸師』を都道府県ごとに検索可能です。
(2) 学会活動・研究発表を行っているか
学会への参加や研究発表を行っている鍼灸師は、
-
日々の臨床を振り返っている
-
自身の治療を検証する姿勢を持っている
-
最新の知見を学び続けている
といった特徴があります。
「治療を行うだけ」ではなく、自分の臨床を言語化・共有できるかどうかは、鍼灸師の姿勢を知る一つの手がかりになります。
(3) 大学・専門学校の附属鍼灸院
大学や専門学校の附属鍼灸院では、
-
教育・研修体制が整っている
-
病態評価や記録が重視されている
-
医療機関との連携を前提としている
ことが多く、比較的標準化された医療的視点で鍼灸が行われています。
初めて鍼灸を受ける方にとって、安心材料のひとつになり得ます。
鍼灸院の数と資格制度
厚生労働省のより新しい統計では、2024年時点で「はり及びきゅうを行う施術所」35,494か所、「あん摩、マッサージ及び指圧、はり並びにきゅうを行う施術所」38,595か所です。鍼灸を提供する施術所を広くみると計74,089か所の鍼灸院が存在しています。
これは、コンビニエンスストアの店舗数よりも多く、それだけ身近な医療・ケアの選択肢になっているとも言えます。
鍼灸師は国家資格です
鍼灸治療を行うためには、
-
はり師
-
きゅう師
という、国家資格を取得する必要があります。
そのため、無資格者が施術を行うことはできません。
令和4年時点の厚生労働省データでは、はり師 13万4,218人、きゅう師 13万2,205人と報告されています。一方で、認定鍼灸師の数は339人(2024年3月31日時点)にとどまります。
なぜ鍼灸師ごとに差が生まれるのか
一方で、鍼灸師には医師のような「卒後研修」の義務制度がありません。
そのため、
-
臨床経験の量
-
学術的な背景
-
卒業後の研修・学会活動の有無
については、鍼灸師ごとに大きな差があるのが現状です。
卒後研修を行っている医療機関
一部の大学病院や教育機関では、鍼灸師を対象とした卒後研修が実施されています。こうした施設では、臨床能力だけでなく、評価・記録・医療連携といった観点も体系的に学習されます。
例として、大学附属施設や医療機関の鍼灸部門などが挙げられます。私自身も福島県立医科大学会津医療センターにて卒後研修を修了しています。
全日本鍼灸学会とは
公益社団法人全日本鍼灸学会(The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion, JSAM)は、1948年に設立された日本最大規模の鍼灸学術団体です。
日本における鍼灸医学の研究・教育・臨床応用を推進する代表的学術団体です。1948年に設立され、鍼灸の科学的根拠の確立と医療への貢献を目的として活動しています。
関連記事:
全日本鍼灸学会「認定鍼灸師」
https://www.toyo-matsuura.com/jsam
-
設立:1948年
-
法人格:公益社団法人
-
会員数:約3,700名(2024年3月時点)
-
本部所在地:東京都千代田区九段南3-4-5 ビラ・アペックス市ヶ谷302号室
-
学会誌:『全日本鍼灸学会雑誌』
国際・社会貢献
国際部を中心に、世界鍼灸学会連合会(WFAS)やISO/TC249などの国際規格活動に参加し、日本鍼灸の標準化と発信を推進しています。また、鍼灸の安全性・エビデンス・臨床情報の共有にも注力しています。
全日本鍼灸学会は、伝統医学と現代科学を橋渡しする学術的中核として、日本の鍼灸医療の国際的評価向上に寄与しています。
認定鍼灸師制度の目的(4つの柱)
-
国民に対して安心・安全に鍼灸治療を委ねることができる施術ができる
-
標準的な一定レベルの学術水準を保つことができる
-
自ら学術研鑽と資質向上に努める姿勢(プロフェッショナリズム)を持つ
-
医療と連携する能力を担保することができる
基準の位置づけについて
本稿で示した基準は、あくまで「判断の手がかり」です。認定資格の有無のみで治療の質が決まるわけではなく、非認定であっても優れた臨床家は存在します。
重要なのは、その鍼灸師がどのように学び、どのように臨床を振り返っているかというプロセスにあります。
このページを書いた人
PROFILE
監修
鍼灸師 松浦知史
全日本鍼灸学会認定鍼灸師
東京有明医療大学主席卒。福島県立医科大学会津医療センター研修。研修終了後は埼玉医科大学東洋医学科、ならびに同大学かわごえクリニックを経て、大慈松浦鍼灸院、神保町十河医院附属鍼灸院副院長。

