Cancer pain
がん疼痛(痛み)
がん疼痛とは
がん患者さんの多くが経験する症状のひとつで、がんそのものやがんの治療に伴って生じる痛みのことを指し、この症状は生活の質(QOL)に大きく影響します。
原因は主に3つに分けられます:
● ガイドラインの中の鍼灸の取り扱い
ガイドラインでは鍼灸治療がどのような位置づけになっているのかを、まずは一覧表を確認してみましょう。
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NCCN(Adult Cancer Pain, 2025版):最新版では「非薬物介入を含む統合的な疼痛管理」の重要性を明記しており、非薬物療法の選択肢の一つとして鍼灸を含めた統合的アプローチが紹介されています。
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ASCO / SIO(2022):ASCOとSociety for Integrative Oncologyの合同ガイドライン(2022)は“統合医療”の立場からの推奨を出しており,鍼灸などが一般のがん疼痛や筋骨格系の痛みに対して採用され得ることを示しています。エビデンス評価は“中程度”の根拠・推奨とされる領域があり、「完全な高品質エビデンス一色ではないが臨床的利用を支持する」という位置づけです。
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日本緩和医療学会(2020):2020年版の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』では、鍼灸に関する記載がありません。これは、薬物療法に焦点を当てたガイドラインであるためと考えられます。ただし、日本緩和医療学会が発行した『がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)』(金原出版)のガイドラインには、鍼灸についての記載があります。
👉 Ⅲ章 各論:クリニカル・エビデンス
https://www.jspm.ne.jp/publication/guidelines/individual.html?entry_id=92
● ガイドラインから読み取る鍼灸の立ち位置
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位置づけは“補助/併用”が基本
多くの主要ガイドラインは「基本は薬物療法(利益>不利益)」を前提にしており、鍼灸は単独で第一選択になるよりも、薬物や理学療法などと組み合わせる補助的選択肢として扱われることが多いです。
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適応の選別が重要
骨転移による疼痛、神経障害性疼痛、治療後の筋骨格痛などで鍼が有効となる報告がある一方、重度の血小板減少(出血リスク)や皮膚・組織が損なわれている局所(放射線皮膚障害や腫瘍直下の皮膚)などでは注意が必要です。
まとめ
多くの国際/国内ガイドラインはまず薬物療法(WHOラダー等)を基盤とし、薬物で十分コントロール困難な場合や薬物の副作用を抑えたい場面で鍼灸などの非薬物的介入が補完的に検討される、という立場です。ただしASCO/SIOや最近のNCCN(2025)などでは鍼灸を積極的に“選択肢”として扱う方向に変化してきている点が重要です。





4.「各種がんに対して鍼通電療法って効果的なの?」
2023年に発表されたレビュー研究では、17件のランダム化比較試験(RCT)、合計1,275例のがん患者を対象に鍼通電療法の効果が検討されました。
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対象は各種がん患者で、痛みの部位や種類に応じて鍼治療が実施されている
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使用された主な経穴は、四関穴、足三里、三陰交、内関、陽陵泉、圧痛点など
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特殊な部位の痛みには、膵がん:膈兪・肝兪、術後痛:足三里や局所穴などが選択された
これにより、鍼通電療法はさまざまながん患者の痛み緩和に有効な補完療法であることが示されています。

今後必要なこととして(私見)
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主治医と連携して「どの痛みに」「どの頻度で」「継続評価は何で行うか」を合意する。
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患者さんの血液検査、皮膚・放射線治療歴、抗凝固薬の有無を確認して安全性を担保する。
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効果判定を事前に決め、一定期間後に評価して継続可否を判断する。
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カルテ記載では「目的」「評価の結果」「合併症の有無」を明確に残すことが重要。

