Research
現代科学が解き明かす
「鍼灸」とは?
鍼灸治療を受けたことがある人の多くが、「なんだか調子がいい」「気持ちが落ち着く」「眠りが深くなる」など、言葉にしづらい“いい感じ”を実感していますよね。
「鍼灸って、なんかいいよね。」という“体感”には、実は現代科学でも少しずつ解明されつつある根拠があります。


我々、鍼灸師が用いるのは、「鍼」と「お灸」。
どちらも経穴に刺激を与えることで、からだ本来の力(自然治癒力)を引き出します。
「ツボってなんだろう」「なんで効くんだろう」と調べてみました。









(まとめ)
鍼灸って、いいよね。
1. ツボは身体の状態を反映する
かつては経験的に「なんとなくここが効く」とされてきたツボの場所。しかし最新の研究では、身体に不調があると皮膚に「神経原性炎症スポット」が現れやすいことが示されました。その場所は、古くから伝えられてきた経穴と約70%が一致しています。
つまりツボとは、からだの異常を反映して“現れる”機能的な点であることがわかってきたのです。
2. ツボの刺激は、全身に作用する
ツボを刺激すると、末梢神経→脊髄→内臓や中枢神経に情報が伝わり、身体機能に影響を及ぼします。
これは「体性-内臓反射」と呼ばれる生理学的反応で、
例えば:
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ST25(天枢)への刺激が結腸の運動機能を改善しました(IBSモデル)
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足三里刺激が迷走神経―副腎軸を介して抗炎症効果を引き出しました
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また、鍼刺激により脳の機能的な異常(fMRIで測定可能)が変化し、不眠などの症状改善にもつながっています。
3. 感覚神経(C線維)の可塑性が、ツボの“効く”メカニズムに関係
「ツボが出現する」とは、感覚神経が感作(過敏化)されること。病態により、ある皮膚領域の感覚神経が活性化し、そこに鍼刺激を加えると、通常よりも大きな神経反応が起こるようになります。
これが、「病気のときには〇〇のツボが効く」とされてきた経験知の科学的裏付けです。
4. 鍼灸は、「なんとなく効く」から「こういう仕組みで効く」へ
昔の鍼灸師たちが感覚的に使ってきた「ここに鍼を刺すとよくなる」という知恵は、現代科学により神経、免疫、中枢系レベルでの効果機序が明らかになりつつあります。これからの研究に期待したいですね。

