顔面神経麻痺と鍼治療―評価から医鍼連携まで

顔面神経麻痺に対する鍼治療について、これまで当院で整理してきた内容を3つのページにまとめました。
今回の3ページでは、鍼治療の位置づけ、評価方法、医師への情報共有までを一連の臨床として整理しました。
まず、鍼治療の位置づけを整理しました
「顔面神経麻痺と鍼治療」のページでは、顔面神経麻痺に対する鍼治療について、診療ガイドラインや国内外の研究をもとに整理しています。

顔面神経麻痺では、急性期と慢性期で治療目標が異なります。
急性期では標準治療が優先されますし、鍼治療を行う場合も、その位置づけを誤解しないことが重要です。一方、慢性期では、麻痺そのものだけでなく、病的共同運動、拘縮、こわばりなどが主な問題になることがあります。

そのため、病期ごとに臨床上の課題を分けて考える必要があります。
顔面神経麻痺では「評価」が治療方針を決めます
鍼灸臨床では、治療手技そのものに注目が集まりやすいですが、顔面神経麻痺では評価が非常に重要です。
例えば、柳原法による顔面運動評価、ENoGによる神経機能評価、発症からの経過日数、病的共同運動の有無などは、治療方針を考えるうえで重要な情報になります。

当院では、これらに加えて、必要に応じて鍼通電刺激に対するTwitch反応も確認しています。
▶︎ 顔面神経麻痺の評価と鍼治療
医鍼連携では、文書の質も問われます
鍼灸臨床では耳鼻咽喉科などで診断・治療を受けながら、鍼治療を希望して来院する患者さんも多くいます。
そのような症例で重要になるのが、医師との情報共有です。
少なくとも、発症日、診断、治療歴、柳原法、ENoG、顔面運動の変化、後遺症の有無、鍼灸施術の内容などが整理されていた方が、医師側も状況を把握しやすくなります。
医師と連携するうえでは、関係性を作ることも大切ですが、相手が理解できる形式で情報を出すことも同じくらい重要です。
施術報告書作成ツールを作りました
そこで、顔面神経麻痺に特化した「施術報告書作成ツール」を作成しました。
発症からの経過、柳原法、ENoG、Twitch、症状変化、後遺症、施術内容などを入力すると、医療機関へ共有するための文章を作成できます。
このツールは、完成した診療情報提供書を自動生成するというより、鍼灸師が必要な情報を漏れなく整理するための下書きツールとして作っています。
報告書を書く経験が少ない場合、「何を書けばよいのか」「どこまで書くべきか」で迷うことがあります。その負担を減らしつつ、顔面神経麻痺の経過を医療者間で共有しやすい形にすることを目的としています。
▶︎ 顔面神経麻痺 施術報告書作成ツール
治療技術だけでは、医療連携は続きません
医鍼連携というと、医師から患者さんを紹介してもらうことや、病院とのつながりを作ることに目が向きがちです。
ただ、実際に連携を続けていくには、鍼灸師側の記録や報告の質も重要です。
医師からみれば、鍼灸師がどのような評価をして、何を目的に、どのような施術を行い、その後どう変化したのかが分からなければ、連携のしようがありません。
顔面神経麻痺は、柳原法やENoGなど、医療機関と共有しやすい評価指標がある疾患です。鍼灸師側もそれらを理解し、自分たちの臨床の中で適切に扱う必要があります。
顔面神経麻痺を診る機会のある鍼灸師の方に、臨床を整理する材料として活用していただければと思います。




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