テレビ朝日「グッド!モーニング」で紹介された鍼灸研究|抗がん剤治療の副作用と鍼治療の臨床試験

2026年9月2日、テレビ朝日「グッド!モーニング」の「グッド!いちおし」で、鍼灸やツボ刺激のメカニズムが特集されました。
番組では「抗がん剤治療の副作用を抑えるのに鍼灸が効くのではないか」といった趣旨のテロップとともに、抗がん剤治療によって生じる末梢神経障害に対する鍼治療の臨床試験が紹介されていました。

「抗がん剤の副作用に鍼灸」と聞くと、かなり広い意味に受け取られるかもしれません。
実際にこの研究で検討されているのは、抗がん剤の副作用すべてではなく、タキサン系抗がん剤によって生じる末梢神経障害です。
手足のしびれや痛みなどを生じることがあり、治療終了後も症状が続く場合があります。こうした症状に対して鍼治療がどの程度役立つのかを検証したのが、番組で紹介されていた臨床試験です。
番組では、島根大学、東京大学、埼玉医科大学などが関わった臨床試験として紹介されていました。

今回紹介されていたのは、2026年に『Anticancer Research』に掲載された以下の研究です。
Ohno S, Inokuchi H, Kasuya D, Takahashi T, Yamaguchi S.
Acupuncture for Taxane-induced Peripheral Neuropathy: A Randomized Controlled Trial.
Anticancer Research. 2026;46(8):4745-4753.
doi:10.21873/anticanres.18331.
この研究は「AcuNEXT」と呼ばれる多施設共同ランダム化比較試験で、タキサン系抗がん剤によって末梢神経障害が生じた患者さん48名を対象に、鍼治療、円皮鍼によるセルフケア、待機群の3群に分けて比較しています。
この臨床試験は、UMIN-CTRにも「タキサン系抗癌剤治療による末梢神経障害に対する鍼治療の有効性に関するランダム化比較試験(多施設共同研究)」として登録されています。
鍼治療群では、13週間にわたり計12回の鍼治療が行われました。
結果をみると、主要評価項目として設定されていた「しびれの強さ(VAS)」については、鍼治療群と待機群との間に統計学的な有意差は認められませんでした。
一方で、患者さん自身が評価した指標では、しびれ・ピリピリ感や痛みが日常生活にどの程度支障を与えているかという項目で、鍼治療群に良好な結果がみられています。
そのため、この研究から「鍼治療によって抗がん剤による末梢神経障害そのものが改善する」とまでは言えませんが、末梢神経障害に伴う日常生活上の支障を軽減する可能性については、今後さらに検討する価値がある結果だと思います。
個人的にも縁のある研究
この論文を読んでいて、個人的にも少し感慨深いものがありました。
私は以前、埼玉医科大学病院 東洋医学科と埼玉医科大学かわごえクリニックに所属していた時期があります。
今回の論文には、埼玉医科大学の山口智先生、高橋孝郎先生をはじめ、東京大学の粕谷大智先生、島根大学の大野智先生らが著者として名を連ねています。私自身も大学に所属していた時期などを通じて、著者の先生方とお話ししたり、交流させていただいたことがあります。
その先生方が関わった研究がこうして論文として発表され、さらに「グッド!モーニング」を通じて一般の方にも紹介されていることを、嬉しく感じました。
今回の研究も、抗がん剤治療に伴う末梢神経障害に対して、鍼灸がどのような役割を担えるのかを考えるうえで、興味深い臨床試験の一つだと思います。
参考文献
Ohno S, Inokuchi H, Kasuya D, Takahashi T, Yamaguchi S. Acupuncture for Taxane-induced Peripheral Neuropathy: A Randomized Controlled Trial. Anticancer Research. 2026;46(8):4745-4753. doi:10.21873/anticanres.18331.




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